雪国? |
「窓を開けると、そこは雪国だった...」、そんな文学作品はありません。
目を覚ますと妙に明るく、妙に静かで何か変な感じでした。窓を開けると、無音の堆積とでも言うような積雪。あぁ、休日で良かった。
こんな日を喜んでいるのは、子供だけでしょう。雪合戦に参加する元気はありません。京都にいても身動きがとれないので、エーグルのレインブーツを履いて大阪に脱出です。たぶん、京都よりはマシだろうとの想定で。
大阪 |
東洋陶磁美術館http://www.moco.or.jp/ 06-6223-0055 月休
特別展 「台北 國立故宮博物院 北宋汝窯 青磁水仙盆」~3月26日迄
割引券使用で、一般、¥1,000。やれやれ、大阪には全く雪がない。レインブーツを履いて、傘を持ってるのが恥ずかしい。「京都では大雪なんですよ~」と言いたい。
去年から楽しみにしてました。用途が不明の水仙盆、形はコビト用のお風呂のようにも見えます。ガラスケースの中で照明を受けて艶がありますが、いくらか光を吸収しているのではとも感じる。実際は硬質な手触りでしょうが、なぜか柔らかそうな質感です。青磁無紋水仙盆は、貫入がほぼ無いために「人類史上最高のやきもの」、と形容されています。貫入があったほうが、シブくてイイんじゃないのとも思いましたが、それだとあくまで人間の領域なんでしょうね。貫入が見られないという希少性ゆえに、浮世離れした「神品至宝」ってことなんでしょう。入口付近のこの特別展は、わずか六点だけ。もう終わり?とあっけにとられましたが、同時開催の特集展「宋磁の美」、収蔵品の平常展でしっかり心がみたされました。
美術館を出ると、隣の堂島川が青磁色に見えた。それはともかく、これからお腹も満たしましょうか。
昼食 |
Nogarazzahttp://www.nogarazza.jp/ 06-6225-2950 月休
今日は久しぶりに、衝撃的だったあのカレーにしようか、それとも、前回同様にスペインバルか?おっ、イタリア料理もある、すごく盛り付けがキレイ。ってことで、ここノガラッツアにしました。
5~6種類の中から選べる、グラスワイン白、¥700。ですが少な目で、¥520?
corso ghiotto、¥3,780。一皿目、前菜二種盛り、金美ニンジンのスープと紫カリフラワーなどのピクルス。甘くて、スープと言うよりピュレ。酸味を感じさせないので、ピクルスだと忘れていた野菜。
二皿目、広島の○○産(忘れた)の牡蠣×2。適当な大きさに切られた牡蠣にカブの他に数種の野菜、何かの甘み(バルサミコ?)で和えられている。「牡蠣に甘み?合うんかな?」と思いましたが、違和感なし。
画像上が三皿目、自家製カラスミ、雲子と色々な野菜(忘れた)のパスタ(フェデリーニ?)。アルデンテではありましたが、個人的にはもう少し麺に歯応えがあるのが好み。でも、それはリストランテ向きではないかもしれません。ソースはオイルベースと聞いていましたが、全くそれを感じさせない透明感がスゴイ。さらに、塩辛さの無い、自家製カラスミのカドの無い味。日本のカラスミとボッタルガはどう違うのか、また、どちらの製法で仕込まれているのか知りませんが、現代的な洗練された仕上がりです。
四皿目、選べるセコンドとして、画像下の大和ポークの炭火焼き、白菜など野菜添え。左下の黒い粉は、「炭火焼に合う」炭塩です。ほんの少しつけるだけで肉が元気になる。豚肉の脂身は少な目なのでサッパリ、噛み締めて楽しみました。意外に量が多いのも「肉るめく」事が出来て有難い。下に敷かれた野菜は、湯がいた後に出汁を含ませたような印象で、良い意味で日本料理な感じです。
五皿目、二種類から選べるドルチェで、抹茶ティラミス。野菜を京都府南部の和束から仕入れているそうですが、抹茶もそこからなのかな?抹茶のキレのある香りが印象的、それに食感の軽いこと。
六皿目、生チョコ?と焼菓子、エスプレッソ。しっかり作り込んだ小菓子までついてくるとは!
とにかく野菜の扱いが上手だと思います。主役の食材に合わせる感覚が今まで体験した事がない。主素材と野菜は別々に存在しているのではなく、一皿の味として全体に昇華している。また、店の雰囲気、料理の質、接客など、お手頃価格で「リストランテ」を具現化されている。最近はトラットリアな店で、アホみたいにお腹いっぱい食べて喜んでいましたが、たまには洒落たトコに訪れるのもイイもんだと思いました。平日なら予約は取り易いそうなので、近いうちに夜に来ます。あと、カウンター席で隣になった、常連のОLさんふたりに話し掛けられて、楽しく食事ができました。お勧めのパン屋さんも教えてもらいましたし。わたくし、こーゆー事けっこうあります。
喫茶 |
Seiichirou,NISHIZONO 06-6136-7771 火水休
栗とヘーゼルナッツのタルト、ピエモン、¥480+税。こんなとろける舌触りのタルトは初めて。サックリ系もいいけど、しっとりホロホロ系もイイもんです。
薬効成分が身体に沁み渡るような、このハーブティー好きです。ベルベーヌシトラス、¥550+税。
「ノガラッツアでドルチェ食べたし、一品だけにしとこ」との決意もむなしく、追加してしまった。アシディテ、¥500+税。この色彩と層に惹かれましたが、甘さを秘めつつ鋭い日本刀のような酸味。ロリータファッションの女の子が、実は居合の達人だった、みたいな意外性です。
満席だったので、前の公園で寒空の下待っていました。そこまでしても諦めきれない魅力があります。
お土産 |
Louloutte 06-6136-7277 月火休
いつものバケットとルルットに加えて、ガレットデロワ、¥380。持って帰る途中で、パイの表面が剝がれてしまいました。
翌日、深夜に帰宅してコーヒーを淹れて一服。バターの香りとコクに満ちた、外側のパイ生地。何て言うのか知りませんが、ホロホロ舞散る、ほんのり甘い内側。大きくて食べ応えがあるけど、軽くてあっという間に完食。
これを楽しみに、この日の仕事を頑張りました。
前回と同じトコばかりでスミマセンね、浮気はあまりしないもので。次回は今回のブラブラ歩きで見つけたお店、勧められたパン屋さんに行きます。
汁椀 |
ぎゃらりぃ思文閣 075-761-0001
「赤木明登 茶の箱展」 平成29年1月7日~22日迄
これも去年から楽しみにしていました。茶の箱とは言わば、片手で持ち運びができる野点セット、もしくはおもてなしセットです。たぶんドールハウスや箱庭にも通ずる、個人的な美意識の詰め合わせだと思う。他人の好みをのぞき込むようで、興味深いものです。できれば、己自身でこのようなものを組み合わせてみたいものです、買うのは無理ですので。
そのほかにも、器や美術作品もあって、充実した鑑賞体験でした。下の段になるほど嵩が高くなる、五段の刳り木の細長いお重がカッコイイ。使い方の妄想がふくらみます。
現実的に手の届く範囲で欲望を満たすなら、塗のお椀が欲しかったので、能登三ノ椀 赤、¥12,960。吸い込まれそうな木目と血のような赤。恐るべき軽さと手触りの柔らかさ。フツーの味噌汁なんか入れてもええんかな。おそらく定番商品だと思うので、一個づつ買い足していきたい。
銘々皿 |
「赤木明登 茶の箱展」のあとに、ある拝観停止のお寺にて、某茶人のお茶事(初釜)に参加しました、¥30,000。
待合にて白湯とお菓子、それから茶席にて亭主による濃茶、別の部屋に移って懐石と福引。食べ終わると、また別の部屋にて薄茶とお菓子二種をいただきました。待合と懐石以外では、それぞれの場所において、床の間やお道具の拝見がじっくり行われました。
意外に和やかで、適度に緊張感のある時間でした。某料亭による懐石料理も素晴らしく、ひざ掛け(銘々皿の背景に使用)と画像の「欅轆轤目黒拭漆銘々皿」が、お土産としてもらえました。これには驚き。
結論としてお茶事とは、総合芸術でもあり、語弊があるかもしれませんがエンターテイメントでもある。作法は知らんでも問題なし。行って損はなかった。