エスプレッソ立ち飲み振興会を作ろうか、どうしようか。
まず、その理由から始めます。むかし、ヨーロッパを三か月間、バックパッカーとして旅行したことがあります。いわゆる、貧乏旅行です。ユースホステルに泊まりながら、あちこちをブラブラしているうちに、やがてイタリアに到着しました。
時間は有り余っているが、お金は無いということで、どこかの街のカフェでボーッとしていた時の事です。ピンヒールをコツコツと鳴らしながら、スーツ姿の女性が現れました。店員に一言、二言話し掛けた後、お金を渡すと、やがて小さなカップが差し出されました。彼女は立ったまま、そのカップに砂糖を入れて、手早くスプーンでかき混ぜました。そして、一口で飲み干した途端、「チャオ」と言って、立ち去りました。
うわぁ、カッコイイ。これが本場のエスプレッソ文化か!と目を見張った次第です。しかし、帰国してからは、イタリア料理店でエスプレッソを飲む機会はありましたが、その感動はすっかり忘れていました。
暫くすると、京都にもサードウェーブとか、スペシャリティーコーヒーの流行がやってきました。基本的に新しいもの好きですから、本店が長岡京市にある、評判のお店に行きました。そこで、農園から直接買い付けた豆を使用したという、エスプレッソを興味本位で注文しました。一応、一口か二口で飲み干すのが作法であるとの知識はあったので、そのようにしました。
弾ける果実味とコク、甘美な余韻。それと共に、あのイタリアでの記憶が蘇りました。バリスタの彼に、イタリアでの経験を話すと、「現地では、栄養ドリンクみたいなものです。」と笑っていました。
それ以来、コテコテの日本人ながら、積極的にエスプレッソを味わうようになりました。状況によっては、立ち飲みをしながら、バリスタの方と会話も楽しんでいます。例えば、和食店に行った後や、まだ帰りたくない時、初めて訪れた店が失敗だった時の口直しなど。
前述の店を含めて、数件のカフェでエスプレッソを飲みますが、いずれも立ち飲みをするお客さんは少ないそうです。たまに、外国人の方がされるぐらいとの事。確かに、カフェや喫茶店ではのんびりするのが普通です。店に来て、すぐ飲んで帰るなんてもったいないという気もします。ただ、エスプレッソはすぐに飲まないと、風味が損なわれるそうです。そういう意味で、刹那的な楽しみなのかもしれません。
個人的な経験を申しますと、その魅力は美味しさもさることながら、頭が冴えるという事です。エスプレッソをダブルで、二杯飲むと顕著です。反面、カフェインの量は少ないらしいのですが、寝つきは悪くなります。その意味では、職場の近所で、午前中か昼食後に飲めれば最高です。比較的、値段も安いですし。
奈良の自家焙煎珈琲店のマスターが、もう少しエスプレッソ文化が根づいてくれれば、一杯の値段を下げられるのになぁともおっしゃっていました。そんな訳で、カッコよくエスプレッソを立ち飲みできる店を、このブログで紹介したいと思っています。それが、立ち飲み振興会の第一歩です。